ライティングクリエイターの菊地です。

 

今回は心理学用語「確証バイアス」と「バーナム効果」についての話です。

 

どちらも人間が持っている認知の歪みからくる心理効果で、
人間誰しもこういった傾向があるということを知っておくだけでも役に立つと思います。

 

こちらでは確証バイアスの具体例やバーナム効果の具体例などをお話していきたいと思います。

確証バイアスとは

まず「バイアス」という言葉は「偏り」を意味します。

 

つまり確証バイアスとは

「自分が正しいと確証していることによる心理的な偏り」

のことです。

 

もっと分かりやすく言えば

「自分に都合の良い情報だけ取り入れて都合の悪い情報は無視する」

という心理的な偏りのことです。

 

自分が「正しい」と確証している主張や情報だからこそ、
それを支持するような意見、情報のみを好意的に取り入れて
自分の正しさを確固たるものにしていく一方、
その主張や情報を揺らがすような反対意見や反証は無視する。

人は自分が見たいように見て、見たくないものは目をつぶるんですね。

 

確証バイアスは日常の至る所に潜んでいます。
その具体例をお話していきましょう。

確証バイアスの具体例①血液型占い

確証バイアスの具体例の最たるは血液型占いでしょうね。

 

血液型占いは、根拠が曖昧ながら日本中に蔓延しており
もはや占いという枠を超えてハラスメントや偏見の温床になっています。

 

企業の採用面接において血液型を理由に採用を見送った、という話もあり
これに対して厚生労働省が

「職務能力と血液型には関連がない」

と、企業の採用面接において血液型を尋ねないように
指導するという事態にまでなっています。

 

「根拠が無いのは分かってるけど何となく当たってる気がする!」

「少なくとも自分の周りでは本当に当たっている!」

 

血液型占いを支持する人は口々にそう言いますが
これぞ正に確証バイアスがもたらす認知の歪みというわけです。

 

例えば血液型占いでは「A型の人は几帳面」という風に言われていますが、
仮に「物凄く細かくノートを取る人」がいたとしましょう。

 

この人が仮にそれぞれの血液型を名乗った時に
血液型占いを信じる人はどう感じるかというと・・・

 

①A型 → 「やっぱりA型は几帳面!」
②B型 → 「B型なのにA型っぽい」
③O型 → 「O型なのにA型っぽい」
④AB型→ 「Aが入っているからA型の傾向が強い」

 

恐らくこんな風になっていくはずです。

 

いずれの血液型であったとしても「A型=几帳面」という図式は変わらずに、
「B型なのに几帳面」「O型なのに几帳面」などの都合の悪い情報は切り捨てて
「A型が几帳面」という都合の良い情報のみが強く記憶に残ります。

 

こうして「A型=几帳面」という都合の良い情報だけを取り入れて
血液型占いが当たっている気がする、という確証バイアスに陥るのです。

確証バイアスの具体例②悩み相談

誰かから「悩み相談」を受ける時には

「悩みを聞いて欲しい」
「アドバイスが欲しい」

という風に建前上は言っていたりするものの、
いざその人の意見に反対するようなことをアドバイスすると

 

「うーん・・・そうかなあ・・・」

 

と、どうにも納得してくれないということがよくありますよね。

 

それもそのはずで、その人はアドバイスが欲しいのではなく

すでに自分の中で答えが決まっていることを後押ししてほしい

というだけのことだからです。

 

これは正に、確証バイアスにより自分の都合の良い情報だけを
取り入れている状態です。

 

だから自分の意見に共感してくれる人が現れるまで
違う人に悩み相談をし続けるというわけですね。

 

特に「恋愛相談」なんかは、結局のところ当人同士の気持ちの問題であって
外野がとやかく言えるようなことは本来無いはずです。

だからこそ

「自分の意見に共感してもらって自分が正しいことを確信したい」

のです。正に確証バイアスと言えるでしょう。

確証バイアスの具体例③「最近の若者」と「老害」

異なる世代間の確執というのはいつの時代も存在しますが
ここにも確証バイアスは存在します。

 

例えば「最近の若者は~」というのは典型的な確証バイアスです。

 

若い世代が何か事件を起こしたというニュースが流れると

「最近の若者は凶暴化している」

などと言う人が現れますが、実際には警視庁の少年犯罪件数の統計を見ると
年々減少しています。

※参考 警視庁HP

 

それでも内閣府の世論調査では「少年犯罪が増えている」と
感じた人が8割もいるそうで、テレビが報じる少年犯罪のニュースの
都合の良い部分だけを取り入れて

「最近の若者が凶暴化している」

と思う確証バイアスに陥っています。

そして、その若者批判に対抗するようにして
「暴走老人」「老害」と揶揄してシニア世代の犯罪が
増えているかのようにも報じていますね。

 

どちらも自分に都合の良い情報だけを取り入れる
確証バイアスと言えます。

 

テレビが報じるものはあくまでも一例である、と
冷静に、客観的に見る必要がありますね。

確証バイアスの具体例④ギャンブルでの勝敗

これは私自身の実体験に基づくものなのですが、
競馬で万馬券を当てて14万円の払い戻しをしたことがあります。

 

ただ万馬券を当てたのはそれっきりで、その後も何度か
お遊びで競馬をやってみたものの当たることはほぼありませんでした。

 

それでも万馬券を当てた時の印象が強すぎて

「まだトータルでは黒字になっているはず」

と、ずっと思い続けていたんですね。
正に自分に都合の良い情報だけを取り入れる確証バイアスです。

 

私はお遊び程度の金額なのでそれほど痛手はありませんが、
ギャンブルにハマっていく人というのは恐らくこの

「まだトータルでは勝ってるはずだから」

という確証バイアスも一つの要因なのではないでしょうか。

 

まだほかにも様々なところに確証バイアスは潜んでいますが、
確証バイアスを少しでも和らげるためには

 

「今自分は都合の良いことだけ見ているかもしれない」

「今自分が見聞きしていることは一例に過ぎない」

 

と、常に自らを省みる謙虚さを持つことが重要ですね。

 

ただ、確証バイアスは必ずしも悪いということではありません。

 

何かに挑戦する時に

「自分は必ず成功する」

という風に思い込むことが出来れば、成功のために必要な情報にアンテナを張って
集めやすくなるので結果として成功しやすくなるという
好循環を生み出すことが出来るからです。

 

もちろん、失敗を省みる謙虚さは必要ですが
その一方でこういった思い込みも必要だとは思います。

バーナム効果とは?

確証バイアスと似ているものの少し異なる心理効果に

「バーナム効果」というものがあります。

 

バーナム効果は

「曖昧で一般的な誰にでも当てはまる性格を表す記述を自分だけに当てはまるように考える」

という心理効果のことです。

 

「バーナム」というのはサーカスの創始者である興行師のP・T・バーナムのことで、
ミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」の主人公でもあります。

 

そのバーナムが言ったとされる

“we’ve got something for everyone”(誰にでも当てはまる要点というものがある)

という言葉がバーナム効果の元になっています。

 

バーナム効果を実証する「フォアの実験」

バーナム効果は1948年にアメリカの心理学者であるバートラム・フォアが行った
「フォアの実験」という実験で提唱されました。

 

フォアの実験においては大学生たちに心理検査を行い、後日に
その検査結果を踏まえた性格診断ということで
大学生たちにそれぞれ紙を渡しました。

 

しかしその性格診断には全て同じことしか書いてありません。
その例を挙げると

 

・あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。
・また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。
・あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。
・外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。
・正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。
・あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。
・そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。
・しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。
・あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。
・あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。


どれもよく見ると「誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な事」ですよね。

 

にもかかわらず、その性格診断がどれだけ自分に当てはまっているかを
大学生たちに5段階で評価させたところ、平均スコアが
5点満点中4.26点という結果が得られました。

大学生たちは一人一人性格が異なるにも関わらず
誰にでも当てはまることを言われて「自分は正しいと思ってしまったのです。

 

バーナム効果を発揮しやすい4条件

バーナム効果は4つの条件がそろうと特に発揮しやすくなります。それは

1.精神が弱っている時
2.メッセージの発信者に権威性がある時
3.メッセージが個別に発信されている時
4.メッセージの内容が前向きな内容の時

 

というものです。これは「占い」を具体例に見るとよくわかります。

1.占い師に相談する時点で何か悩みがあるということで精神的に弱っている時です。

2.占い師のことを「プロの占い師」と権威性を感じているからこそ相談します。

3.占いによる診断は今この場で自分だけに向けて発せられている、と信じています。

4.占いは大抵の場合「自分でも気づいていない才能が眠っている」などの前向きな内容です。

 

こうして見ると占いほどバーナム効果を発揮するのにぴったりな条件のものは無いかもしれません。

 

前向きな内容を信じるというのは確証バイアスでもありますね。

 

確証バイアスにかかっているとバーナム効果にもかかりやすくなるという
相関関係もあります。

バーナム効果の具体例

 

では、次にバーナム効果を発揮する具体例を挙げていきましょう。

 

バーナム効果の具体例①血液型占い

確証バイアスの具体例として挙げた血液型占いも実は
「誰にでも当てはまるような記述」だったりしますよね。

 

「A型は几帳面」
「B型はいい加減」

 

というのは血液型占いの典型的な記述ですが、
これは見方を変えれば誰でも当てはまります。

例えば自分の好きなものや興味のあるものなら
細かいこだわりがあったり真剣にやりますよね。
これはある意味「几帳面」なところがあると言えます。

 

その一方で、好きじゃないものや興味のないものなら
適当にやってしまうというのもまた事実です。
「いい加減」なところがあると言えます。

 

「O型はおおらか」も「AB型は合理主義」も
細かい面を見れば誰にでも当てはまるようなことではないでしょうか。

 

「バーナム効果」によって誰にでも当てはまるようなことを信じ込み
「確証バイアス」によってそれを正当化するための意見や情報のみを選択的に取り入れていくのが
血液型占いなのです。

 

まあ血液型占いに限らず「誰にでも当てはまる一般的な事」は
確証バイアスにかかっていることでより受け入れやすくなってしまいますので
注意が必要です。

 

バーナム効果の具体例②恋愛

恋愛においてもバーナム効果を発揮することが出来ます。

 

「オンとオフの切り替えがすごくしっかりしてそうだよね」

「なんか今日ちょっと疲れてるよね」

「明るく見えて実はすごく周りに気を使ってるよね」

 

よくよく考えれば当たり前のようなことであっても
自分のことをよくわかってくれている!と思うと
その人に対して信頼を寄せるようになります。

バーナム効果のコピーライティングへの活用例

確証バイアスは

「情報を受け取る側の認知の歪み」

という情報の受け手として気を付けるべきことなのに対して
バーナム効果はマーケティングを仕掛ける側として自主的に使うことも一応可能です。

 

特にコピーライティングにおいては

「こんな悩みをお持ちではありませんか?」

と呼びかけるターゲティングは重要な要素になりますが、
一般的に当てはまることであっても

「あ、正に自分が持ってる悩みだ」

と思ってもらえるかもしれません。

 

占いなんかでも

「あなたは今人間関係で悩んでいますね?」

「今、人生の岐路に立っているのでは?」

と、よく考えれば誰でも当てはまるようなことを言って
信用させるということはよくやっています。

 

ただ、コピーライティングというのは読み手に対して

「まるで自分一人に向けて言われているようだ」

という感覚を持たせることが強い説得力を生むため、
ターゲットが具体的にどんな悩みを持っているかを調査する
「ターゲットリサーチ」は必須と言えます。

 

占いのように何の取っ掛かりもないところから
「まるで自分のことのようだ!」
と思わせるためなら別ですが、真っ当なビジネスにおいては
ある程度ターゲットの悩みを絞ることは可能であり、
ターゲットリサーチをサボって「誰にでも当てはまるようなこと」を言うのは
あまり考えない方が良いかもしれません。

 

冒頭部分の「ツカミ」として誰にでも当てはまることを言うのはまだしも、
ある程度の量の文章を書くことを考えると
ターゲットの具体的な悩みを捉えることは必須になります。

 

そもそも誰にでも当てはまるようなことだと、
ターゲットは広く捉えられるものの具体性に乏しく
曖昧なメッセージになってしまう可能性が高いですからね。

 

「ターゲットリサーチをサボりつつより広い範囲の人をターゲットにしたい」

 

という場合にはバーナム効果を狙った「誰にでも当てはまる悩み」を
投げかける意味もあるかもしれませんけどね。

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